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クックエブリオとオリジナル天板で
パリッと本場の焼き加減
洋食
フレンチレストラン
ラ・ブランシュール 様
(北海道・札幌市)
オーナーシェフ 中本 泰弘 さん
札幌・円山公園に隣接した緑豊かな高級住宅地に「ラ・ブランシュール」はあります。本場フランスのクラシカルな調理法をベースに、オリジナリティを追究した料理は、『ミシュランガイド北海道2012特別版』で星1つを獲得。シェフの斬新なアイデアが光る料理やデザート、本場の味と香りにこだわった焼き菓子作りに、クックエブリオが活用されています。
お店のこだわりを教えてください。
コンセプトは店名の通り「白さ(blancheur)」です。インテリアも食器類も白を基調に選びました。料理に関しては私が、装飾に関してはフローリストでもあるマダムが担当して、どちらかの思いだけに偏らないよう、バランスよく店のイメージ作りをしています。クラシックでシンプルな本場のフランス料理を、リラックスした雰囲気の中で召し上がっていただけるように内装からカトラリーまで気を配っています。
普段どのようにスチコンを使われていますか?
魚のテリーヌ、ビーフシチューの煮込み、蒸し物、野菜の下ゆでなどに使います。それから冬のメニューでお出しするエゾ鹿や野兎のパイ包みもスチコンで作りますよ。パイがパリッと焼けるから重宝しています。幅広く使っていますが、全体的に見ると焼き菓子やデザートに使うことが多いですね。デザートに添えるオレンジチップもスチコンで。一度にたくさん作っておいてストックしておくんです。オーブンで作っていた頃は焦げるものもあったりして失敗やロスが多かったんですよ。スチコンは時間設定さえ間違えなければいつも同じものが安定して作れるので、すごく助かっています。忙しい時は天板5枚全部使えば大量にできるから安心です。入れる天板の枚数が少なくても多くても、焼き加減が均一だからロスも少なくてありがたいです。
オリジナルの天板を作られたそうですね。
はい。本場に近い味を提供したいので「焼き色」と「香り」にすごくこだわりを持っているんです。ステンレス製ホテルパンだと、焼き色が少し弱いので知り合いに頼んでベーキングシートの大きさとクックエブリオのサイズに合わせて天板を作ってもらいました。焦げる寸前までしっかりと焼くと本場で食べるような香り高いお菓子ができるんです。お菓子は焼き加減を目で見ながらギリギリのタイミングで取り出します。庫内の様子が見やすいクックエブリオは、そんな私の調理スタイルにぴったりなスチコンです。
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店名の通り、「白」で統一された清楚な店内。マダムが手がけた季節の花がテーブルを可憐に彩る。
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シロップ煮したオレンジを70〜80℃のホットエアーモードで乾燥させて作るオレンジチップ(左上)。 焼き菓子などに使用する天板はクックエブリオのサイズに合わせて特注した(右下)。
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プリンの調理にはクープ(食器)のサイズに合わせて市販のカゴなども活用。
すると、スチコンで作った一押しメニューは焼き菓子ですか?
ええ。クラシックの“流儀”を伝えやすいマドレーヌやフィナンシェですね。どちらかを毎日ランチでもディナーでもお茶うけとしてお出ししています。「本場のものは本場に近い味で提供したい」という思いがあるんです。日本とは気候も食材も違うから厳密にまったく一緒、というわけにはいきませんが“本場らしく”作ることを心がけています。1階のカフェに、キッシュと日替わりケーキと焼き菓子を3アイテムほど卸しているので、自分の店の分も合わせると、かなりの数を焼きます。毎日ストレスなく大量に安定した味のお菓子を作れるのはクックエブリオのおかげです。
料理もお菓子もバランスよく作る秘訣は何ですか?
一日のほとんどをお店で過ごすので、同じことばかりやっていると飽きてしまいます。だから私は、料理は「アナログ」、お菓子は「デジタル」と分けて考えるようにしているんです。料理は自分の経験や感覚を頼りに、お菓子は時間と分量をしっかり決めてスチコンに任せる。そんなスタイルでやっていると毎日の作業にメリハリがついて楽しいんです。それから厨房スペースが限られているのでストレスのない動線を確保した設計も大切だと感じますね。
厨房設計もホシザキが担当したのですね。
そうです。オープン前から調理は最小限の人数でやろうと決めていて、安定したものを提供できるスチコンは絶対導入したいと思っていました。テストキッチンで最初にクックエブリオを見た時、「コンパクトなのにすぐ温度が上がるし、仕上がりが安定していて、いいな」と思いました。うちの店は厨房が小さめなので、このサイズがよかったですね。設計は動線確保のためにミリ単位で設置場所から調理台の高さに至るまで、ホシザキさんにしてもらったんです。おかげで毎日スムーズに作業が進んでいますよ。
ストレスフリーな厨房とスチコンから得られたものは何ですか?
少しずつでも着実に次へ進む気持ち、ですかね。厨房やスチコンの使い方に慣れてきた頃から、新メニュー作りへの意欲がどんどん湧いてきたんです。オープン後しばらくは手が回らなくて作れなかったプチパンを焼くようになりましたね。納得いく焼き上がりになるまで何度も温度や時間の設定を変えて試したかいあってか、「販売してほしい」とおっしゃるお客様が何人もいるほどご好評いただいてますよ。これからもクラシックな技法を守り伝えていきながら、作る側もお客様も飽きのこない料理ともてなしを追求していきたいです。
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クックエブリオとオリジナル天板で“クルスティアン”が中本さん納得の焼き色に。「ココナッツの“クルスティアン”ヨーグルトのソルベを乗せて」。
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限られたスペースを生かした厨房。設計からホシザキが担当した。
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季節ごとにソースのフレーバーが変わる「クープに入った最初のデザート」。
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イタリアンシェフとのコラボレーションやブライダル企画などは「いい刺激になる」と新しい試みにも意欲的な中本さん。
取材日記
取材後、「クープに入った最初のデザート」をスタッフ全員でいただきました。グラスに入ったプリンの上にはパンナコッタ、ジュレ状の生クリーム、その上には塩キャラメル・木いちご・トンカ豆のソースがとろり。取材に訪れた午後は柔らかな陽の光が店内に入る時間帯。上品な美味しさの4重奏スイーツで“セレブな昼下がり”をちょっぴり体験できました。