Vol.31 「お客に手伝ってもらう」のはOKか?
飲食店の接客サービスでは、商品の提供時やお皿を下げる時などに、お客の手を借りるケースがある。お客が手伝ってくれるのは、店にとってありがたいことだ。しかし本来、それは正しい接客とは言えないのではないか。お客の好意に甘えてしまっていいのだろうか。
例えば、空いた器を下げようとしたら、お客様がスタッフに空いた器を手渡してくれた…。あるいは生ビールを4人分テーブルに運んだら、手前のお客様が生ビールを手にとって奥のお客様へ渡してくれた…。このようにサービスの中で「お客様に手伝ってもらう」場面をよく目にする。これはOKなのだろうか?
結論から言えば、「手伝ってもらってよい」、つまり「OK」ということになる。お客様が自ら手伝ってくれようとしている場面で、仮に「お客様は手を出さないでください。こちらでやります」というようなことを言ったら、場がしらけてお客様に嫌な思いをさせてしまうだろう。そうなってしまうぐらいなら、手伝ってくれようとしているお客様の気持ちを尊重した方がよい。そういう意味でOKだ。
ただし、本来は、お客様の手を借りずにすべてのサービスを接客係が行なうのが基本である。このことを忘れてはならない。手伝ってもらうのが「当たり前」になってしまうと、その気持ちが態度にもあらわれ、お客様に対して失礼な言動をとってしまうケースが少なくないからだ。
手伝ってもらったら、当然、言うべき「ありがとうございます」という一言さえ忘れてしまっている場合もある。だからといってお客様は露骨に怒ったりはしないだろうが、「ありがとうの一言もないのか…」とあきれているはずだ。お客様を逃す場面になりかねないのである。
逆に、接客が評判になるような店は、手伝ってもらった際の「笑顔」と「ありがとうございます」でお客様を気分よくさせている。お客様が「手伝ってよかった」と感じるような笑顔とありがとうございますを心掛けているのである。おざなりの「ありがとうございます」ではなく、気持ちのこもった「ありがとうございます」なのだ。
『よろずや食堂』でも、こうした違いをよく認識して、お客様に「手伝ってもらう」場面の接客をどうすればよいか考えたい。
子供が「店員体験」できる注目の新アイデア
カフェH店は、「職業体験」ができるカフェ。小学生以下の子供が、希望に応じてちょっとした「店員体験」ができるというもの。エプロンをつけてウエイトレス、ウエイターになるのだ。主に子供の親のテーブルを中心にオーダーをとり配膳をする。“優秀”なスタッフは、他のお客様の配膳も。これは、ある意味、お客様の手を借りる究極のやり方。面白いアイデアだ。“給料”は、好きなキッズメニューを1品サービス。週末は家族客やヤングママで溢れる人気に一役買っている。
手伝ってもらったら感謝
お客の手を借りること自体はダメではないが、手伝ってもらうのが当たり前になってしまうと、その気持ちが態度にもあらわれ、お客に対して失礼な言動をとってしまうケースが少なくない。お客の手を借りた場合は、しっかりと「ありがとうございます」&笑顔を。