きっちんぷらす
スチコンレシピ 1233 recipe

Vol.24 シルバー客には「ヘルシー料理が1番」か?

高齢化社会と言われ、シルバー世代への対応が、飲食店でもますます重要なテーマになりつつある。メニューづくりにおいても、シルバー世代をより意識する店が増えている。では、シルバー世代に対しては、低カロリーの「ヘルシー料理が一番」という考え方はどうだろうか。

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そうであるorそうではない

 今後、飲食店の大きな課題となってくる「シルバー客」に関連する選択である。先に、シルバー客に対する接客などの基本的な取り組みについて解説しておこう。
シルバー客に対しては、まず話し方として、ちょっと声のトーンを高くし、ゆっくりと話すようにすることが大切。席までご案内する時も、いつもよりゆっくり、お客様のペースに合わせるようにするなど、動作のリズムを考えることだ。
さらに、席につく際には椅子を引いてさし上げ、ちょうどいい位置になるまで調節してあげる、分かりにくい料理名なども分かりやすく説明する、空調の加減により配慮する…などの対応が大切になる。
一方、間違った対応や、勘違いの対応をしてしまうこともある。その代表的な勘違いが、「年配のお客様は、脂っこいものは好まない」というもの。決してそうとは限らないのだ。
あるうどん店、しかもシルバー客に多く利用されている店でABC分析をした結果、売れ数の1位は何だったか?普通は、うどん関係のメニューだと思うかもしれない。しかし、その店の売れ数の1位は「かつ丼」である。おいしい「かつ丼」だからということもあるが、それだけ、シルバー客に「かつ丼」が支持されているのだ。
シルバー世代のお客様にも、いろんな料理を食べたいというニーズがあるのである。普段、家庭で食べられないおいしいものを食べたいと思う気持ちは、他の世代のお客様と何ら変わらない。脂っこいかつ丼も食べたいと思うのだ。
ただ、食べられる量は限られている。それはシルバー世代の多くのお客様に共通すること。この点には留意してもらいたい。例えば、「量は調節できますので、おっしゃってください」と声をかければ、喜んでもらえるはずだ。
シルバー世代のお客様に一度気に入ってもらえると、頻繁に利用してくれるケースも多い。地域の知り合いなど、いろんなお客様を紹介してくれることもある。
また、時間に余裕があるので、 店が暇な時間帯を選んで来店してくれる場合も少なくない。対応をしっかり行なえば、シルバー世代は店にとって、とてもありがたいお客様になるのである。
『よろずや食堂』においても、シルバー客には「ヘルシー料理が1番」と決めつけず、柔軟に対応していくことが重要だ。


小ポーションがシルバー客から女性まで好評!

 地方の主要駅前にあるファミリーレストランO店は、土地柄、いろいろな層のお客様がやってくる店で、シルバー客も比較的多い。ただ、O店では、シルバー客への特別な対応は何も行なってこなかった。
そうした中、時代の変化も感じて、シルバー客への対応をより意識するようになった。
以前からシルバー客を中心に要望があった「少なめの量」に対応するため、小ポーションで提供するメニューを取り入れたのだ。50gから10g単位でオーダーができるステーキや、1個単位でオーダー可能なひれかつなどである。
その結果、当初、想定していたシルバー客だけでなく、女性客からもこの小ポーションが人気を獲得。中には、「もう少し食べたい」という男性客が、小ポーションのメニューを追加注文するケースもあり、予想以上の効果を上げている。

シルバー世代は量に配慮

「年配のお客様は、脂っこいものは好まない」というイメージがあるが、決してそうとは限らない。普段、家庭で食べられないおいしいものを食べたいと思う気持ちは、他の世代のお客と何ら変わらない。ただし、食べる量は少なめなので、その点への配慮は大切だ。

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