Vol.23 残った料理を持ち帰ってもらうのはよいか
料理を食べきれずに残したお客様から、「これ持ち帰りたいんですけど、いいですか?」と聞かれることがある。お客にしてみれば、同じ料金を支払うなら、残した料理を持ち帰ることができた方が損はない。その気持ちはよく分かるが、どう対応するべきだろうか。
お客様が残した料理の持ち帰りに関しては、店側からすると慎重にならざるをえない面がある。料理を持ち帰ったお客様が、家ですぐに食べてくれるとは限らない。きちんと冷蔵保存してくれるという保証もない。料理が傷んでしまい、それを食べたお客様が腹痛に…ということにでもなれば、店側の責任もゼロとは言い切れないケースが出てくるため、残した料理の持ち帰りには慎重になる必要がある。
しかし、残した料理の持ち帰りについては、もう一つの見方も大事になってきた。エコを意識する人が増え、食糧廃棄を減らすことの大切さが広く認識されるようになってきている。料金に対する損得の前に、残した料理が捨てられてしまうことに「もったいない」と強く感じるお客様が増えているのだ。
そうした時代背景を考えれば、残した料理を「持ち帰ってもらうのはよい」という選択になる。「これ持ち帰りたいんですけど、いいですか?」と聞かれた際に、「もちろんですよ。いま持ち帰り用の容器に詰めてまいります」と快く対応したいところだ。ただし、もちろん条件付きである。必ず「いつまでに食べて欲しい」、「少し時間を置く場合は冷蔵保存する」ことなどをきちんと伝えることを忘れてはならない。そして、刺身などの生ものに関しては、持ち帰ることができないことにした方がよいだろう。
また、持ち帰りの容器代だが、これはできればサービスしたい。容器代が必要なことを伝えれば払ってもらえるだろうが、持ち帰りOKの好印象が少し薄れることは否めない。お客様に「容器代は?」と聞かれ、「いえ結構ですよ。お心遣いありがとうございます」と対応した方がファンを増やすことにつながるはずだ。
残った料理の持ち帰り&おみやげ専用商品で成功
都心の繁華街にある居酒屋K店、大きなビジネス街が控えているため、ビジネスマンの利用が多い。以前から、お客様がメニュー数を多く注文するため、料理を残すケースが少なくなかった。そのため残った料理の持ち帰りの要望も多く、容器も用意して要望に応えていた。
K店の店長は、それにしても持ち帰る率が多いと感じていたため、お客様に聞くことにした。すると、その理由の多くが「家へのおみやげ」の代わりだったのだ。
そこで店長は、「持ち帰り専用のメニュー」もつくった。すなわち、おみやげメニューだ。たいやき1個120円、たこ焼き500円などである。すると、これが多くのお客様に喜ばれて大当たりし、かなりの売れ数を記録している。
お客が残した料理に対応
エコを意識する人が増え、食糧廃棄を減らすことの大切さが広く認識されるようになった。残した料理が捨てられてしまうことに「もったいない」と強く感じるお客が増えている。残した料理の「持ち帰り」サービスについて、実践可能かどうか検討することも必要だ。