Vol.13 激安デザートを用意するのは得策か?
多くの飲食店が、デザートメニューにはそれなりに力を入れている。そのデザートの売り方で、最近、居酒屋チェーンなどで目立つのが「激安デザート」だ。この「激安デザート」戦略は、一般の中小飲食店でも得策となる売り方なのだろうか。
飲食店の経営では、「売上=客単価×客数」という公式がある。私はこの公式に縛られることはお勧めしないが、それでも売上を上げるには客数か、客単価をアップすることが求められるのは確かである。そして、客単価をアップするには、注文数をいかに増やすかがポイントになり、そのために多くの店がそれなりに力を入れているのがデザートだ。デザートメニューは、追加注文が期待しやすく、飲食店にとっては客単価アップの有力メニューと言える。
しかし、デザートを客単価アップのアイテムとしてしかとらえていないと、いま注目の売り方を見逃すことになりかねない。というのも最近は、居酒屋チェーンなどが、100円デザートや200円デザートといった激安デザートを用意しているケースが目立つ。最近の居酒屋チェーンは、料理メニューも低価格路線の店が多いが、その中でもデザートは特に安くしている場合もある。客単価アップよりも、集客アップの役割を重視した目玉商品の激安デザートだ。
こうした激安デザートは、大手チェーンの売り方であって、一般の中小飲食店には関係ないのだろうか。
中小飲食店の売り方の基本は、安易に安売りに走らないことである。この考え方が、大切であることは変わらない。ただし、デザートメニューに関しては、検討の余地がある。特に子供連れの家族客や、女性客の利用が多い店は、「激安デザート」を検討してみてもよい。なぜなら、子供客などはデザートが外食の大きな楽しみになっている。それをよく知っている親は、「安いデザートを用意している店」=「子供用のデザートを注文しやすい店」=「子供が喜ぶ店」という印象を持ちやすい。その集客効果が大きいのだ。また、食事の最後のデザートで割安感を感じさせることで、財布にやさしい店という印象も強まる。
激安で用意する以上、利益はあまり望めないが、こうした集客効果を考えると、激安デザートが得策なケースも多いのだ。『よろずや食堂』でも検討の余地があると言える。
また、激安デザートを導入する場合、100円、200円の激安だけに絞る必要はない。500円前後の価格で、より価値を高めたデザートも用意し、幅広いニーズに応える売り方も考えたい。
規模の小さい居酒屋が、自店なりの工夫で分煙
O店は地方都市にある和風ダイニング。この店で評判なのが、100円から注文できるデザートだ。ただし、O店のデザートは、追加注文を誘う売り方も魅力的に工夫している。
O店のデザートは、基本のアイスクリームが100円からの価格で計3種類ある。そして、3種類の「サンド」も100円からの価格で追加注文できるようにしている。この「サンド」は、最中、パイ生地、サブレで、アイスクリームをサンドすることができるというもの。しかも、何種類かをサンドした場合、タワーのような盛り付けで提供するので、お客が盛り上がる楽しいデザートとなっているのだ。このタワー演出が評判となり、デザートは100円から500円前後の幅広い注文単価で利用を獲得。安さと付加価値の高さの両方を魅力にして成功している。
たばこ対応策が大切に!
中小飲食店の売り方の基本は、安易に安売りに走らないことだが、「激安デザート」に関しては検討の余地がある。子供連れの家族客や、女性客の利用が多い店では特に、「激安デザート」の集客効果が大きいからだ。一度、検討してみてもよいだろう。