Vol.12 たばこの対応策は、“待ち”でいいか?
神奈川県で「受動喫煙防止条例」が施行されるなど、たばこの話題が目立つ。神奈川県以外の飲食店は条例で規制されているわけではないが、気になる動きだ。ただ、分煙などはコストがかかると言われる。まだ規制されていないのだから、何もしなくていいのだろうか。
「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」が、2010年4月1日から施行される。これは神奈川県のみに限定された条例ではあるが、他の地域の飲食店も、関係ないとは言っていられなくなってきた。たばこに関する取り組みを、考えることが大切になっている。
現状で、どれくらいの飲食店が、分煙を始めとした、たばこの対応策を講じているだろうか。中には対応策を進めている店もあるが、まだ何もやっていないという店が多いのが実情だ。
このまま何も検討しないでよいのだろうか。きっとそうではないだろう。いまからできることは何か。それぞれの店が考えることが大事になっている。このような新たな課題は、今後の経営のあり方を見直し、再構築していくチャンスととらえるぐらいの姿勢が必要である。
では、どんな取り組みを行なうべきか。まず改めて、「客層分析の再確認と設定」が大事になっていると言える。家族客、カップル客、サラリーマン客というようなこれまでの客層分析だけでなく、たばこを吸うお客様、吸わないお客様というカテゴリーでもきちんと客層分析をすることが必要だろう。
自分の店が、「喫煙の店」、「禁煙の店」、「分煙の店」のうち、どれであればより多くのお客様に利用してもらえるのか。そこを、まずきちんと見極める必要がある。
そして、次に重要なのは、「分煙の店にしたいけど無理…」、「喫煙の店だから何もしなくてよい…」などと、決めつけないことだ。
例えば分煙も、仕切りを設けるなど、大きなコストがかかるやり方は難しい店が多いだろうが、お金をあまりかけないでできる方法を検討してみることは大切だ。仕切りを設ける厳密な分煙ではなく、客席を喫煙席と禁煙席に分けるだけの分煙でも、お客様に評価してもらえるケースは多いのである。
また、店頭に「喫煙」、「禁煙」、「分煙」、「時間分煙」の表示を行なうという取り組みもある。入口で、分かりやすく表示することで、お客様は確認する手間が省けて親切だ。
『よろずや食堂』でも、「何もしなくていい…」という考えではなく、このように、いまからできることを検討していくべきだろう。
規模の小さい居酒屋が、自店なりの工夫で分煙
S店は、地方にある一般的な居酒屋である。店の規模は22坪程度と小さめだ。10年前の創業以来、全席喫煙の店だったが、たばこを吸わないお客様から、禁煙席があったら嬉しい…という声も聞き、小さいながらも分煙に踏み切った。ただ、店の規模が小さいので、仕切りを設けるのは物理的にも予算的にも難しかった。それでもS店の店主は、分煙を行なうからには、できる限りの工夫をしようと考えて取り組んだ。
まず、喫煙席エリアを店の奥の換気扇に近いところに設定。そして自分で買ってきた大きめのワーロンに穴を空けて、照明の傘として利用した。この照明の傘がたばこの煙を集める役割をし、開けた穴を通じて天井の換気扇の排気口に流れたのだ。自分で作った簡易な設備なので、決して完璧な分煙設備と言えるようなものではないが、店主にとっても上々の出来だった。また、店頭には自作の分煙ステッカーを表示。こうした分煙の取り組みで、たばこを吸うお客様にも、吸わないお客様にも好感が持たれる店になっている
たばこ対応策が大切に!
たばこの取り組みに関しては、まず自分の店が「喫煙の店」、「禁煙の店」、「分煙の店」のうち、どれであればより多くのお客様に利用してもらえるのか、そこを見極める必要がある。また、自店なりに工夫した分煙や、店頭での表示など、できることを始めることが必要だ。