きっちんぷらす
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Vol.9 広告宣伝メニューを安い商品にするか?

この不況で、ますますお客の低価格志向が強まっていると言われる。広告宣伝などでは、価格の安いメニューを売り込むべきなのだろうか。それとも、利益が出しにくい安いメニューの売り込みは、あまり考えない方がよいのだろうか。

Vol9
安い商品にするor安い商品にしない

 以前の飲食店であれば、値段が少々高くても、“お値打ち感”で集客するという売り方が実現しやすかった。しかし、現在の不況下では“絶対的な価格の安さ”が必要になってきていることを、多くの経営者が実感していることだろう。
だからといって、単純にすべてのメニューの価格を下げてしまっては、商売にならない。安さのイメージを打ち出しつつ、なるべく利益を圧迫しないようにしなければならない。 そこで、いま注目されるのが、一部のメニューだけ、低価格で売り込むという方法だ。これからの集客メニューづくりで、特に意識したいポイントとなっている。
例えば、電気屋さんが「電球1個でも交換にお伺いします」という広告を出しているのを見たことはないだろうか?1個100円の電球で、本当に採算がとれるのだろうか?と疑問を持つだろう。もちろん電球1個で利益がでるはずがない。では、何を売っているのだろうか?
これは“近隣感”を打ち出し、「お客様の困った」を商機の入口としたものに他ならない。電球1個を交換に行って、その家庭で古いTVを見つければ、「買い替えの時には当店で」とさりげなく伝えることができる。お客と仲良くなれば、孫のプレゼントの相談でパソコンが売れるかもしれない。こうして新たな需要を掘り起こすきっかけとしているのだ。
また、電気屋さんといえば、店頭に電球や電池など日常品の低価格の商品ばかりが並んでいるものだ。これらの低価格商品は、「お客様を引き付ける、引き付けやすい商品」「気軽に手が届く商品」である。一方、店の奥には「気軽に買うことのできない商品」、店にとっては本当に買って欲しい利益商品がある。つまり、前者はフロント導入商品、後者はバックエンド利益貢献商品である。
これは、飲食店でも応用ができる。集客メニューとして売り出す場合、それが最初から高額だと、お客様の気を引き付けることが容易ではない。店のことを知らなければ、お客様は単に高いというイメージだけを持ってしまうだろう。そうではなく、絶対的に安さを感じさせることができる商品を集客メニューとして売り出し、まず来店のきっかけを作る。そして、利益貢献が大きいメニューは、店を利用してもらった上で注文してもらえるような売り込みを工夫する。そうした流れで集客戦略を考えることが大事になっているのだ。
『よろずや食堂』においても、「まぐろ丼」はお値打ち感の高い商品かもしれないが、880円という価格では絶対的に安い価格ではない。特に宣伝で打ち出す集客メニューは、絶対的な安さをアピールできる商品を選びたい。利益が出しやすい商品は店内のPOPや写真付きメニュー表の売り込みで勝負しよう。


100〜300円台の新商品が客数挽回に大貢献

 店舗展開している九州料理の居酒屋K店がある。以前から地鶏の「ごろ焼き」が人気の店だ。このごろ焼きを、200g・980円というお値打ち価格で提供してきた。しかし、不況の中、ごろ焼きが以前ほど売れなくなってしまったのである。
そこで、100円〜300円の商品価格帯が少なかったため、このラインのメニューを作ることにした。地鶏を串に活用して6種類を開発し、それらを130円〜160円にして広告宣伝のトップメニューに。あっという間に人気となって客数挽回に大貢献している。

「安さのイメージ」を工夫する

不況で、お客がメニューの価格に敏感になっている。だからといって、単純にすべてのメニューの価格を下げてしまっては商売にならないが、「安さのイメージを打ち出す」という戦略は、検討の必要がある。一部のメニューだけ、低価格で売り込む方法などを考えたい。

vol.8 新規顧客リピート

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