Vol.7 紹介制度は、どんな内容にするとよいか
お客にお客を紹介してもらう「紹介制度」という集客方法がある。いわゆる「口コミ」を店側から仕掛けるやり方で、成功している店では費用対効果の高い集客方法になっている。では、その紹介制度の仕組みは、どんな内容にするとよいのか。
飲食店の最強の集客方法は、やはり「口コミ」だ。新規客が店を利用するきっかけの実に5〜7割が口コミと言われている。
しかし、こんな大切な集客方法にも関わらず、多くの経営者が選択する新規客の獲得法は、チラシやウェブ広告ばかり。しかも、なかなかよい結果が出ず、費用対効果が合わずに利益圧迫の要因になっているケースも少なくない。そうした中、いかに口コミを喚起するかが、ますます大切になっている。口コミが広がる仕掛けづくりが上手くいけば、費用対効果が高い場合が多いからだ。
その点でまず、「口コミは積極的につくるもの」という意識が必要。何もしないで待っているだけではダメだ。 「お客様からお客様を紹介してもらう」ということを、システム化する方法も検討したい。「紹介」は、「口コミ」をより具現化したものだ。
ただし、紹介システムはやり方に注意が必要。これまでよく目にする紹介方法は、「知人を紹介してくれたら、あなたに特典をプレゼント」という特典方法だが、これはお客様にとっては「押しつけられた」「知人を売るような感じがする」といった印象を与えてしまう場合がある。そこで以下の4点を押さえて欲しい。
1.大義名分をつくる
紹介してもらうお客様の抵抗感をなくすことがまず大切。そのためには、紹介する大義名分が必要。「いまだけの紹介キャンペーン お得増量中!」「手に入らない 幻の○○が入りました。お友達にも教えてあげてください」など、大義名分を付け加えると紹介度がアップする。
2.一緒に来店してもらう
「この割引券を知人にお渡しください」というよりは、「ご一緒にいらっしゃってください」というアプローチの方が、紹介者の心理的負担が軽くなる。『よろずや食堂』でも、「一緒に連れてきてもらう」内容のご紹介割引券にした方がよいだろう。
3.両者両得を演出
紹介する側だけが得になるような内容ではなく、紹介されたお客様も得をする内容を工夫したい。両者両得も紹介度アップの秘訣だ。
4.告知のタイミングも重要
紹介システムを伝えるタイミングは、来店してすぐだとあまり効果が上がらない。帰り際に告知して、紹介用のクーポンなどを渡すのが無難なタイミングである。同時に「お客様が一番、満足しているタイミング」も心掛けたい。そのタイミングを見極める接客力が求められるが、実践できれば効果的だ。
限定の魅力や両者両得を工夫した紹介制度が成功
地方のロードサイドにある和風ダイニングS店は、食材にこだわった店。中でも「幻の豚」と「幻の焼酎」と謳う商品が人気を得ている。しかし、この2つの商品を含め、メニューによっては仕入れの関係で、毎日用意できないものがあった。そこで、このデメリットを逆に利用して、紹介制度をつくった。「あなたの大切な知人の方にプレゼント ○○豚入荷。本日から1週間○○豚の網焼き(1,450円相当)をプレゼント」「そしてあなたには○○焼酎プレゼント」という具合だ。食材や期間の限定、両者両得などの魅力で、紹介割合が新規客の2割を超えている。
紹介制度は、「両者両得」で!
紹介制度は、「この割引券を知人にお渡しください」というやり方より、「ご一緒にいらっしゃってください」という方が、紹介者の心理的負担が軽くなる。そして、紹介する側だけが得になる内容ではなく、紹介されたお客も得をする両者両得の内容にしよう。