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奈良発「豆腐」おいしい笑顔に思いを寄せて作る国産原料100%のお豆腐

大豆の甘みがギューっとつまった「豆腐」

豆腐の原料となる大豆は輸入物が主流という中、近藤豆腐店では100%国産大豆を使用。また、凝固剤も扱いやすい人工凝固剤でなく、伊豆大島産の天然にがりを使っています。豆腐のもとになる豆乳は通常の約1.5倍という高濃度、大豆本来の甘みやうまみを生かしたクリーミーな味ときめ細かな食感が特長です。原材料だけでなく製法、そして価格にもこだわり、大量生産化を実現。多くの人々のもとに手頃な価格で「国産大豆・天然にがり100%」のお豆腐を届け、人気を集めています。

絹豆腐「海精にがりシリーズ」
絹豆腐「海精にがりシリーズ」(小)250g スーパー用
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デリケートな原料は、“マメに”管理

白衣とキャップをつけて最初に案内されたのが大豆の保管庫。品質の劣化を防ぐために低い温度に保たれた庫内には、契約栽培の高級品種「フクユタカ」が積まれていました。思ったより袋の数が少ないな、と感じましたが「長期間保管すると風味が落ちるので必要な分だけを仕入れて3日以上在庫は持たない」と説明を受け納得。また、豆腐作りに欠かせない「水」も、季節によって豆腐の味にバラつきが出ないように一定の温度に保つなど、素材のおいしさを引き出すために徹底した管理が行われています。

おいしいものを、「たくさん」「できるだけ安く」がモットー

「国産大豆100%の天然にがり豆腐がおいしいことは業界の常識」と近藤さんは言います。しかし、天然にがりは人工凝固剤に比べて早く固まってしまうので、豆乳と混ぜる“にがり寄せ”には熟練の技が必要です。そのため、大量生産が難しく価格も高くなる、という実情がありました。「おいしくて安い豆腐を提供したい!」の一心で試行錯誤の末、近藤さんは誰でも使えるにがり寄せ専用器具を発明し、特許も取得。「豆腐は大衆のものだから、できるだけ安くしないといけない。“技”ではなく“技術”で作れば安くできるんですよ」と、豆腐の匠は熟練の技さえもアイデアで平準化してしまったのです。

大豆は品種だけでなく産地にもこだわり、福岡県産と三重県産を使用。

大豆は品種だけでなく産地にもこだわり、福岡県産と三重県産を使用。5秒以内で豆乳とにがりを均一に混ぜる絹豆腐の“にがり寄せ”作業はまさに真剣勝負。

5秒以内で豆乳とにがりを均一に混ぜる絹豆腐の“にがり寄せ”作業はまさに真剣勝負。

大豆を煮る温度も水の量も製品ごとに自動的に管理するオリジナル制御システム。
大豆を煮る温度も水の量も製品ごとに自動的に管理するオリジナル制御システム。


大豆を炊いて粉砕、煮沸。くさみを消して甘みを引き出すために、さらに高温で4分間煮込んでから豆乳が抽出される。通常、10%前後と言われる豆腐用の豆乳濃度を計ってみたら、なんと15.6%!

大豆を炊いて粉砕、煮沸。くさみを消して甘みを引き出すために、さらに高温で4分間煮込んでから豆乳が抽出される。通常、10%前後と言われる豆腐用の豆乳濃度を計ってみたら、なんと15.6%!

機械と人の手、よりよい製品づくりのための役割分担が行われている。
機械と人の手、よりよい製品づくりのための役割分担が行われている。

できたての熱い豆腐をパック詰めし、循環水で急速冷却するホットパック水槽の導入で雑菌の発生を防ぎ、消費期限の延長も可能に。
できたての熱い豆腐をパック詰めし、循環水で急速冷却するホットパック水槽の導入で雑菌の発生を防ぎ、消費期限の延長も可能に。

最先端をいく、手づくりの味

大豆の洗浄・浸漬・粉砕・加熱・分離までの工程はすべて、人の手を介すことなくオリジナルの制御システムで管理されています。抽出された豆乳は「絹豆腐用」「木綿豆腐用」「揚げ用」に分けられ、その後のにがり寄せ、型入れ、パック詰めなどはひとつひとつスタッフが手作業で行います。「機械に任せられる部分は任せてムダな時間を省き、本当に“人の手”をかけたい作業に集中できる時間を増やせば、より良い製品を作ることができる」。近藤さんはこう考えて、さまざまな装置を導入し、作業の効率化を図っています。

作る環境を快適に、情報はオープンに

工場内のところどころには、いつ誰がどんな作業をするのかがひと目でわかる「作業工程表」が掲示されています。工程表の掲示場所は、作業者が「3歩」でなく「2歩」の移動で確認ができるように配慮されているとのこと。効率化の工夫はこんな細かなところにもありました。
そして月に一度、必ず全員ミーティングを行って、製造担当者から配送担当者まで一堂に集まり話し合います。「意思の疎通が大事。情報は全員が共有できるようにし、快適にスムーズに働ける環境づくりをしています」というお話を聞きながら休憩室に目を向けると女性スタッフがティーブレイク中。陽の光が入る明るい部屋で、みなさんのリラックスした表情が印象的でした。

安全性は120%を目指して

近藤豆腐店では、年1回必ず全商品(主要商品については年2回)を日本食品分析センターへ検査に出しています。検査に通ることは当たり前。保健所の厳しい基準を超える「安全基準」を自社で設け、スタッフ全員の意識向上を目的として行っているのです。基本は、安くておいしくて事故のない製品をお客様に届けること。「そのために何をしたらいいか考えて、出てきたことをやっているだけなんです」と近藤さん。ホームページでの情報発信、製品にQRコードをつけることもいち早く着手しました。


サラリーマン経験を活かした販路開拓

近藤さんは豆腐店を継ぐ前、生命保険会社に7年間勤めていたそうです。お店を継ぐとサラリーマン時代に培った営業手腕を発揮し、大胆な改革をしていきました。まず、先代から受け継いだ大口の取引先との販路を絶ち、スピーカー付きの小さな冷蔵車で街を回る行商スタイルで新たな販路を開拓。“安くておいしい近藤さんの豆腐”の評判は、ホテルの料理人、一般家庭にも口コミでどんどん広がり、ついには大手スーパーのバイヤーから仕入れの依頼が来るように。今では「飲食店」「スーパー」「直販」と販路を3本柱にして2〜3丁の注文でも直接届けているそうです。面倒見のいい“豆腐屋のおじちゃん”は「器用によう儲けやんのですわ」と朗らかに笑います。

「直(じか)」のつきあいを大切に

「仕入れ量が多いか少ないかなんて問題じゃないんです。うちの商品を扱ってくれる、食べてくれる人はみんなお客様。商売の基本は“人とのつながり”ですから原料の仕入れから販売まで信頼関係を大切にしています」と言う近藤さん。スーパーでの試食即売会には委託業者を使わず自社スタッフを派遣。「作る」から「売る」まで徹底して責任を持ち、お客様とは「直」のおつきあいを心がけています。「これからも行商スタイルの“原点”を忘れず、手から手へ、人から人へとつないでいきたい」。そんな近藤さんのお話に、この豆腐がたくさんのお客さんに愛される理由は、おいしさだけでなく人との絆にもあることを実感しました。

工場に併設されている直販店では、豆腐や揚げ、ゆばなど、近藤豆腐店自慢の商品を購入できる。
工場に併設されている直販店では、豆腐や揚げ、ゆばなど、近藤豆腐店自慢の商品を購入できる。

金属探知機でチェック後、出荷準備室へ。
金属探知機でチェック後、出荷準備室へ。
出荷直前まで徹底して冷蔵保管されている。

おいしい豆腐をお届けします。

※掲載の内容は、2011年9月現在のものです。