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新潟発「妙高ゆきエビ」ぷりぷりエビなら“高原育ち”に限る!妙高が育んだ、ヘルシー食材

冷凍なのに、解凍後も生で食べられる「妙高ゆきエビ」

「妙高高原」と聞けば「ああ、しばらくスキーに行ってないなぁ」なんていうリアクションが返ってきそうですが、妙高ゆきエビはこの妙高で生産されたエビ。しかもれっきとした海エビです。日本海の海洋深層水と妙高の雪解け水を利用し、抗生物質や薬品を使わず、人工の波に揉まれる環境のもとで育てられます。だから、身がキュッとしまってアミノ酸もたっぷり、高タンパク・低カロリーのヘルシー食材です。水揚げしたその場で冷凍されるので、解凍後、刺身などにしてもおいしくいただけます。

妙高ゆきエビ 冷凍(10尾パック)
妙高ゆきエビ 冷凍(10尾パック)
妙高ゆきエビを使ったレシピはこちら


これが日本初の屋内型エビ養殖

生産現場を訪れたのは2月。いちめん真っ白に積もった雪の中にまるで体育館のような建物を発見。それが、妙高ゆきエビを生産する「妙高雪国水産株式会社」のプラントでした。
雑菌予防のため、長靴にはき替えて手を消毒後、入った屋内には、50mプールほどもありそうな生育水槽がタテに2列並んでいます。高い天井の下では照明が落とされ、水温28℃で管理されている水槽からは湯気が立ちのぼっていました。造波装置で波立つ水面をのぞいてみると、透き通った清水の中に透明のエビがスイスイ泳ぎまわっています。

無菌の稚エビをきれいな水で育てる

妙高ゆきエビは品種で言うと「バナメイ種」。養殖のスタートは「特定の病原菌を持たない」証明書付きの稚エビを輸入することからはじまります。体長わずか5mmほどの稚エビを初期育成水槽で約1ヶ月かけて水中の塩分濃度を徐々に海水から淡水へと順応させていきます。
その後、生育水槽に移して3ヶ月、大きさ15cmくらいになったところで出荷します。いずれの水槽もきれいな水質。この水質を保つために、微生物を使って水を浄化したり、水槽の底をV字型にして老廃物を溜め、除去を行ったりするなどの設備が整えられています。こうした水質浄化のおかげで抗生物質をまったく使わないですむ養殖を実現したのです。

2009年度の農林水産大臣賞を受賞した、屋内型エビ生産システム(ISPS)技術。
屋内型エビ生産システム(ISPS)技術は「安全なエビ生産システム・プラントの開発」で2009年度の農林水産大臣賞を受賞。

キレイな水の中ですくすくと育った出荷前のエビ。稚エビ放流から約4ヶ月で立派な姿に。

キレイな水の中ですくすくと育った出荷前のエビ。水を抜いた育成水槽。
水を抜いた育成水槽。V字型のスロープ
を通じて溝に溜まった老廃物などがシリ
ンダーから水槽の外に押し出される。


機械は使わず、1本1本収穫する。
今回、お話を伺った顧問の野原さん(写真左)と事業所長の宮越隆さん。安心でおいしい妙高ゆきエビを多くの人に知ってもらいたいと話す。

時間になると流水ゲートが開いて水が循環。水槽全体をかき回す人工の波を作る。
時間になると流水ゲートが開いて水が循環。水槽全体をかき回す人工の波を作る。

キチン・キトサンが豊富で薬品などの原料として再利用されるエビの脱皮ガラ。
エビの脱皮ガラ。キチン・キトサンが豊富なそのカラは薬品などの原料として再利用される。

試行錯誤の末の“海洋深層水”

「いちばん苦労したのは水でした。最初は井戸水+人工海水など試してみたのですが、水が合わずにエビは全滅してしまいました。その失敗を経て、いろいろな水を試すトライ&エラーの結果、たどり着いたのが富山沖の海洋深層水だったんです」と妙高雪国水産の顧問を務める野原節雄さん。水深200mの水とエビとの出会いを経て、ようやくコンスタントな供給が可能になり、今では年間約40トンの安定した出荷量を確保しています。

波立つプールもうまさのヒミツ

1分に1回のペースでザブーンと波立つ水槽、エビたちはこの波に揉まれながら育ちます。人工海藻に隠れたり、波にあらがって泳いだり、自然に近い環境のもとで育ったエビは身がしまっていて低脂肪。いろいろな環境で実験を繰り返した結果、最もストレスの少ない飼育方法を見つけ、実施しています。この波は水中の酸素濃度や水温を一定に保つ効果もあります。

環境負荷が少ない持続可能なエビ養殖

日本ではエビを年間25万トン消費しているといわれていますが、その自給率はたったの10%。残りは輸入に頼っているのが現状です。
養殖の中心である東南アジアでは、養殖池を作るためのマングローブ伐採や、排泄物などが引き起こす水質汚染、病気予防目的で投入される抗生物質などによる環境破壊が懸念されていました。
環境に負荷をかけない循環型エビ養殖システムを作ろう、というのがこの養殖システム開発のきっかけでした(養殖システムは株式会社アイ・エム・ティーが開発)。完成したシステムは、設備全体が省エネ運転、エビの脱皮ガラは薬品などの原料に…と、とことんムダを出さない、しかも持続可能な養殖を実現したのです。


獲れたてエビをその場で氷〆

野原さんは「バナメイエビといえば、甘さも旨味もクルマエビに比べて落ちる、というのが一般の評価ですが、妙高ゆきエビはグルタミンやアルギニン、遊離アミノ酸といった旨味成分がクルマエビと同等かそれ以上に豊富です」と話します。水揚げされたエビは即座に塩水で氷〆、そのまま真空包装、冷凍後に出荷されます。「確かな安全性と、クルマエビに負けない旨味、そして水揚げ即冷凍の鮮度管理。まさに太鼓判の品質です。価格だけで比べると割高に思われるかもしれませんが、試食してもらえば十分リーズナブルだと納得していただけるはずです」。野原さんのお話から、その味と品質への揺るぎない自信が伝わってきます。

この歯ごたえこそ、生命力の証し

百聞はひとくちにしかず!? 実際食べてみると、ナチュラルな甘みがたっぷり。茹でた見た目も色鮮やかで、噛み切る最後の瞬間までぷりぷりとした歯ごたえが残りました。この歯ごたえこそ、「エビが本来育つべき環境で育てられた」すこやかさの証しです。活発に運動できる環境で育てられたエビは生きるチカラが強くなって、その生命力がそのまま味に出る…こんな元気な食材を食べていれば、食べ残しも減るかも?自然の生命を食べるというありがたみも増すのでは?などと、いろいろ考えてしまいました。大きく見映えよく育てることがこれまでの養殖なら、これからは「元気に育てたもの」が市場に受け入れられるのかもしれません。

食味に関係する総遊離アミノ酸はクルマエビと同等、旨味成分として知られるグルタミンはほかのエビよりも多い。
食味に関係する総遊離アミノ酸はクルマエビと同等、旨味成分として知られるグルタミンはほかのエビよりも多い。
※水産技術 第3巻第1号 別冊(2010年9月発行)より抜粋

見た目も鮮やかで、噛むほどにエビの甘味が出ておいしい。

試食した妙高ゆきエビ。見た目も鮮やかで、噛むほどにエビの甘味が出ておいしい。


※掲載の内容は、2011年2月現在のものです。