きっちんぷらす
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Vol.34 居酒屋や食堂でも、調味料にこだわる?

塩・醤油・ゴマ油…など、飲食店で当たり前に使われている調味料。居酒屋や食堂など、幅広いジャンルの料理を提供する店でも、こうした調味料にこだわるのは得策だろうか。それともコストアップしてまで、こだわる必要はないのだろうか。

vol34
こだわるのは得策orこだわる必要はない

 「焼き鳥店なら塩にこだわる」、「そば店なら醤油にこだわる」、「中華料理店ならゴマ油にこだわる」…というように、それぞれの専門店では調味料にこだわるケースは多い。多少、値段が高くても、より品質の高い調味料を使って専門店のおいしさを強化している。
では、居酒屋や食堂など、幅広いジャンルの料理を提供する店で、調味料にこだわるのは得策か——。この選択は、どれくらいの価格帯のメニューを提供しているのか、どれくらいの原価をかけられるのかによって違ってくるものの、基本的な方向性としては、大衆的な居酒屋や食堂でも、調味料にこだわるのは得策と言える。
例えば、居酒屋などで提供する中華風サラダにゴマ油を使うとしよう。香りのよい良質なゴマ油を使った場合と、そうでない場合、お客様にはっきりと違いが分かるほど味に差が出るケースがある。それぐらいおいしい良質なゴマ油は、もちろん値段は高いが、それでも1人前のサラダに使用する原価で言えば、一般的なゴマ油に比べて数十円の差だ。その数十円の差が大きいと言えば大きいのだが、調味料は肉や魚に比べれば一人前にかかる原価は低い。その割に、おいしさが格段に増すとしたら得策と言えるのだ。
塩や醤油、みりん、オリーブオイル…など、他の調味料でも同様のケースがある。すべての料理でお客様に味の違いが伝わるとは言い切れないが、料理のタイプによっては、こだわり調味料が威力を発揮する。天ぷらの旨さを引き立てるこだわり塩、刺身がよりおいしく感じられるこだわり醤油、煮魚のおいしさがグンとアップするこだわりみりん、バゲットにつけて食べると味の違いがすぐに分かるこだわりオリーブオイル…などだ。
また、最近は調味料に対する“健康観”が少し変わってきた。ちょっと前は、減塩、減糖、油控えめというように、単に量を減らすことばかりが注目されていたが、最近は良質な調味料を適度に摂取することが健康にいいと考える人も少なくないようだ。減塩や減糖はいまも関心の高いテーマであり、それをどう工夫するかも大切だが、一方で良質な調味料にこだわるメニューづくりもますます重要になっている。
もちろん、こだわり調味料なら何でもいいというわけではない。単に値段が高いものを使うのが、こだわるということでもない。しっかりと情報を収集し、様々な使い方を研究し、コストに見合う威力を発揮してくれるこだわり調味料を使いたい。


調味料に頼り過ぎない味の改善で商品力アップ

 都心主要駅にある居酒屋A店は、15席ほどの小さな居酒屋だ。主なメニューはおでん。以前は、このおでんの人気がいまひとつで、売上もかんばしくなかった。
その原因は調味料の使い方。おでん以外のメニューも、塩や砂糖などの調味料だけが中心の味付けで、調理過程においても適切な手順で使われていなかった。
そこで、同店では外部のアドバイザーにより、だしや旨み調味料を上手く活用し、調味料に頼り過ぎない味づくりを工夫。だしや旨み調味料で効果的に旨みを引き出し、料理全般の減塩にも成功して「おいしいおでん」として評判に。この事例のように、調味料に関しては、いろいろな改善の仕方で商品力がグンとアップするケースがあると言える。

こだわり調味料が威力発揮

調味料は肉や魚に比べれば一人前の料理にかかる原価は低い。その割に、良質な調味料を上手く使うことで、おいしさが格段に増す料理もある。その点で、多少コストアップしても、効果的に活用すれば、大衆的な居酒屋や食堂でも調味料にこだわるのは得策だ。

vol.33 日替わりメニュー

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vol.35 繁盛店への道