Vol.15 店頭での呼び込みは積極的に?慎重に?
この不況と競合の中で、少しでもお客を増やそうと、店頭で呼び込みを行なう店が目立つ。販促の中でも、より行動力のある取り組みと言えるのが呼び込みだ。では、どんどん積極的に行なうべきだろうか。それとも慎重に行なうべきだろうか。
繁華街などで「店頭での呼び込み」を行なう店が増えている。駅前や人通りの多い交差点でも当たり前にように行なわれており、開店から閉店間際まで大きな声をはりあげているスタッフの姿を見ると、必死さが伝わってくる。中には、集客に結びついているケースもあるだろう。
しかし、店頭での呼び込みは諸刃の剣だ。通行人にしつこくつきまとうような呼び込みは、かえって不快感を与え、店の評判を落とすことになる。「呼び込みをしている店」=「流行っていない店」という印象を持つ人もいるので注意が必要なのだ。
中でも肝心なのが、呼び込みを行なうスタッフの力量。相手に不快感を与えず、上手く利用を促すテクニックは奥が深い。この点を認識した上で、呼び込みを行なうスタッフを選ぶことや、呼び込みの仕方をトレーニングすることが必要である。
そして、呼び込みも宣伝活動である以上、効果を出さないといけない。スタッフの力量に加えて、配布の仕方(時間、内容、場所等)によっても効果が大きく違ってくる。その点で次の3つのポイントを検討したい。
(1)呼び込みの場所を選定。場所にあった配布物や呼び込みの方法を検討。
(2)ターゲットを設定。ターゲットにあった配布物や呼び込みの方法を検討。
(3)競合店との比較で、より効果的な配布物や呼び込みの方法を検討。
つまり、配布場所やターゲットによって、呼び込みの手法も変わってしかるべきだということだ。例えば、店頭での呼び込みは、店の前を通っている人が対象なのだから、配布物はより手に取りやすくて、割引などの特典がすぐに分かるなど、より即効性のある内容にした方がいい。一方、店から少し離れた駅前などでは、割引などの特典だけでなく、店の売り物や特徴が伝わるようなチラシや呼び込みトークが必要になる。店まで離れているので、店のイメージを伝えることが大切なのだ。
また、ターゲットを設定することで、そのターゲットに合わせた訴求力のある特典を考えることができる。呼び込みでも、ターゲットを設定する方法を検討することが重要だ。
『よろずや食堂』においても、呼び込みは単に積極的に行なえばよいというものではない。注意点やポイントを踏まえて慎重に行ないたい。
人選とPR方法を改善した呼び込みで成功!
都心に近い、私鉄沿線の駅から続く商店街の中ほどに海鮮居酒屋M店はある。この商店街は、数店舗の店が呼び込みを行なっている激戦地だ。
そんな中で、以前のM店は、ヒマな時間帯にアルバイトスタッフに呼び込みをさせていた。しかし、効果が低く、もともと来店予定のお客様を呼び込んでいるにすぎなかった。
そこで、呼び込み専門のスタッフを起用。愛想がよくて人当たりのよいスタッフで、なおかつ、いざという時には押しの強さもあるスタッフだ。しかも、このスタッフはサンドイッチマンのように、体の前後に看板をかぶった。その看板で、本日のおすすめ料理を無料サービスする特典を告知。通行人との会話のきっかけにもなる特典だ。さらに看板には店内写真なども掲載。この呼び込みで新規客の獲得に成功している。
呼び込みは慎重に、そして効果的に!
店頭での呼び込みは、それ自体がダメなわけではないが、慎重に行なうことが大切。しつこい呼び込みなどで店の評判を落とす場合もあるからだ。また、呼び込みを行なう以上は、場所の選定やターゲットの設定などで、より効果的なやり方を工夫しよう。