Vol.2 4人席に2人客を案内。判断は正しいか?
客席案内で来店客をどの席に案内するかは、その時々の状況で結構、悩むもの。
お客の要望と、店側の客席効率を、必ずしも両立できるとは限らないからだ。
この『よろずや食堂』のケースでは、どうだろうか。4人席に2人客を案内した判断は正しいのだろうか。
飲食店の経営で重要なデータの一つが「着席率」。例えば、店内に50席あったとしても、実際に50席すべてにお客様が座っているわけではない。4人席を3人で利用していたり、2人席を1人で利用していたりする。満卓であっても、実際に利用されているのが50席のうち40席であれば、着席率は80%と見る。
通常の飲食店の着席率は8割前後。これが7割なら、業態にもよるが効率がやや悪いと判断できる。ただ、高級料理店などでは、ゆったり座るため、着席率は悪くなるという傾向がある。
一方、着席率が9割以上というのは、カウンター席がぎっしりだったり、テーブル席なら相席を多用するなどしないと出ない数字。着席率があまりに高い数字の場合も、お客様に居心地の悪い思いをさせていないかということを見直さなければならない場合がある。
例えば、こんなケースがある。2人客が来店した際に、たいして店内は混んでもいないのに、広い4人席ではなく、狭い2人席にすぐに案内しようとする。このように、2人客は2人席…と杓子定規な対応をすると、「もっと広い席に案内して欲しい」という不満をお客様に感じさせてしまうことが多い。その時の状況に合わせて、臨機応変に対応するのが配慮ある客席案内だ。
では、『よろずや食堂』のケースはどうであろうか。5時半の段階では席は空いている。しかし週末で、夜6時30分には満席が予測される。
そのため、2人客を4人席に案内してしまうと、夜7時に4人席が必要な場面に使用できなくなるかもしれない。こういう状況では、2人客を2人席に案内するのは仕方ない。そうすべきだ。ただし、「こちらの席でよろしいでしょうか?」と、一声かけることを忘れてはならない。
混んでいて希望の席に案内できない時も、「申し訳ございません。混んでおりますので…」などのお詫びと説明をしっかりと行ないたい。
接客の仕方を改善し、客席案内のクレームが減少
居酒屋H店は、来店客にアンケートに答えてもらい、店に対する意見も書き込んでもらっているが、その中に、客席案内に関するクレームが見られた。そこで、店長のY氏は、カウンター席や2人席など、お客様が「狭い」と感じやすい客席に案内する際の接客を見直した。広い席に座りたいと思う心理は、お客様のわがままではなく、当然の要望であるということをスタッフにきちんと認識してもらい、その上でお詫びや説明の仕方を改善。それ以来、客席案内に関するクレームは目に見えて減った。
臨機応変な客席案内を!
店がすいていて4人席が空いているのに、2人客は2人席…と杓子定規な対応すると、お客様に不満を感じさせてしまうことが多い。ただし、近い時間に満席になることが予想される場合は、2人客を2人席に案内するのは仕方ない。臨機応変な客席案内を実践しよう。