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【静岡発】遠州森鈴木農園の甘々娘 糖度の高さはマンゴー越え!?田舎風景をガラリと変えた森町生まれの「甘々娘」

朝採りは格別にスイート!遠州森 鈴木農園の甘々娘

縁日の屋台で焼きとうもろこしを買い、かぶりつきながらそぞろ歩く…日本の夏を象徴する光景です。ところがとうもろこしは南米生まれで、日本における本格的な栽培は明治時代に入ってから。第二次世界大戦後に品種改良が進み、甘さの際立つ品種が次々と誕生しました。黄色と白い粒が入り混じるバイカラーの「甘々娘」もそのひとつで、森町の土壌で育てると、より甘くなると専門家たちの間でも評判に。遠州森 鈴木農園では、この「甘々娘」を森町の観光資産にしようと、様々なメディアを通じてPRしています。

【静岡発】遠州森 鈴木農園の甘々娘

小箱(6〜9本入) 1,900円
大箱(11〜14本入) 3,300円
(税込・送料別) ※ 6〜7月上旬までは「甘々娘」、
 以降9月下旬までは「森の甘太郎」を出荷予定

「甘々娘(とうもろこし)」を使ったレシピはこちら


田畑んの可能性をとことん引き出す3倍活用農法

なだらかな丘陵地には茶畑、河川沿いの低地には田畑が広がり、実り豊かな町として栄えてきた遠州森町。日照時間の長いこの地で稲刈り後の田んぼを遊ばせておいてはもったいないと、昭和40年代から稲作とレタスの転作が盛んになりました。レタスと稲作の間の農閑期を第3の作物に活用できないかと、とうもろこし栽培に乗り出したのが弥さんの父、晃さん。当初はとうもろこしの葉や根などの残骸から発生するガスで、稲作がうまくいかないなど障壁が立ちはだかりましたが、圃場を整備することで栽培に成功。森町で初めて、とうもろこし→稲作→レタスの転作サイクル「3倍活用農法」を確立しました。

苦肉の策から生まれた独自の販売スタイル

とうもろこし栽培が定着し、バイカラーの「ピーターコーン」という甘い品種を導入すると、一気に需要が増えました。しかし7月に入ると気温が上って輸送途中に痛みが始まり、市場に出しても買い手がつきません。頭を悩ませた晃さんは、圃場近くに掘っ立て小屋を建て、採れたてのとうもろこしを販売し始めました。これが遠州森 鈴木農園の販売スタイルの原点です。今から13年前、甘さを強調した品種「甘々娘」がデビューすると、いち早く導入して栽培をスタート。採れたてを小屋に並べてしばらくすると、鮮度バツグンで驚くほど甘いと評判になり、噂が噂を呼んで黒山の人だかりができるようになりました。

遠州森鈴木農園のとうもろこしの作付面積は現在のところ14ヘクタール。需要の高まりに合わせ、作付面積も年々増やしているという。
遠州森鈴木農園のとうもろこしの作付面積は現在のところ14ヘクタール。需要の高まりに合わせ、作付面積も年々増やしているという。

1月末〜5月末まで続く種蒔き。地元のスタッフの他、外国人の研修生も積極的に受け入れている。とうもろこしのシーズンだけでなく安定的な雇用を創出できるのも3倍活用農法のメリット。 1月末〜5月末まで続く種蒔き。地元のスタッフの他、外国人の研修生も積極的に受け入れている。とうもろこしのシーズンだけでなく安定的な雇用を創出できるのも3倍活用農法のメリット。


とうもろこしの雌しべ「絹糸(けんし)」がフサフサ生えているのが、実の詰まっているサイン。切り口がみずみずしい絹糸とツヤを帯びた皮も、鮮度とおいしさを物語る。
とうもろこしの雌しべ「絹糸(けんし)」がフサフサ生えているのが、実の詰まっているサイン。切り口がみずみずしい絹糸とツヤを帯びた皮も、鮮度とおいしさを物語る。

収穫時期は毎朝4時から始動する弥さん。採れたての「甘々娘」はすぐさま直売所へ持ち込まれ、スタッフが慣れた手つきで手入れする。このライブ感も名物となっている。
収穫時期は毎朝4時から始動する弥さん。採れたての「甘々娘」はすぐさま直売所へ持ち込まれ、スタッフが慣れた手つきで手入れする。このライブ感も名物となっている。

のどかな田園風景を変えた「甘々娘」の大行列

当時、建築業に携わっていた弥さんは、小屋に群がる人々を目の当たりにし、「これは森町の活性化につながる!」と直感。建築業に別れを告げ、小屋をきちんとした直売所に建て替えようと、晃さんに提案しました。手狭に感じていた晃さんは二つ返事。ところが弥さんが建てた直売所は、晃さんの想像をはるかに超える規模だったのです。弥さんは持ち前の行動力を発揮し、朝採れの「甘々娘」を精力的にPR。すると度々メディアに取り上げられ、今では週末になると500人もの行列を作り、甘々娘渋滞ができるほどです。「森町の観光名所になって、地域に貢献できたらこんなに嬉しいことはないですね」と弥さん。この思いが全ての原動力になっているといいます。

旬をコントロールして糖度がのった朝採れを長く提供

旬の短いとうもろこしですが、遠州森 鈴木農園では5月下旬〜9月下旬まで収穫が続きます。広大な敷地に「甘々娘」と同じくバイカラーの「森の甘太郎」の種を1月末〜5月末に時間差で蒔くことで、リレー方式での収穫を可能にしました。機械を積極的に導入して効率化を図るも、収穫は全て手作業。採り頃も人の目で判断します。とうもろこしは日中に作ったデンプンを夜に糖へと変えて蓄えるため、朝一番が最も糖度がのる時間帯。このタイミングを逃さぬよう、夜明け前からスタッフ総出で収穫を始めます。直売所は6時オープンですが、朝採れの「甘々娘」や「森の甘太郎」を求め、日の出を待ちきれず、我先にと並ぶ方も多いようです。


森町の風土と先人の努力が「甘々娘」を旨くする

「甘々娘」も「森の甘太郎」も、もともと甘みの強い品種ですが、森町の土壌で育てると、糖度が18〜20度まで上がります。これはマンゴーに匹敵する甘さで、専門家である種苗業者も驚くほど。「独特な地形がもたらす昼夜の寒暖差、清らかな水、そしておじいちゃんやおばあちゃんたちが、しっかり土壌を作ってくれたからだと思います」と弥さん。豊かな土壌を後世へ引き継ごうと、稲作の副産物・稲わらを畜産農家へ提供し、牛たちが排泄した牛糞を熟成させて堆肥に変え、レタス作りのために土へ還す活動を率先して実施。地域循環型農業を追求し、自社だけでなく地域との共存共栄も目指しています。

トップランナーとして駆け抜け森町の未来をリードする

遠州森 鈴木農園は平成26年に法人化。「農業が魅力ある事業だと証明するためにも、私がトップランナーとなり、地域をリードすべきだと思ったからです。今までの農業は家族でやって人件費はゼロという考え。それでは未来の担い手が現れません」と語気を強める弥さん。数字の見える経営体制にし、若くて優秀な人材を雇用し、3倍活用農法を地域に広めた上で、次世代にバトンタッチするのが自分の責務だと語ります。現在もスタッフの士気向上のためにお揃いのTシャツを作ったり、バーベキュー会を開くなど福利厚生の充実にも積極的。「バーベキューでは甘々娘を皮ごと焼くんです。これが最高に旨い!」その言葉を聞き、喉がゴクリと鳴るのを抑えられませんでした。

直売所のオープン前から列をなす人々。週末ともなれば大行列ができ、1日に30アール(約900坪)分の「甘々娘」と「森の甘太郎」を販売。今や森町の観光名所だ。
直売所のオープン前から列をなす人々。週末ともなれば大行列ができ、1日に30アール(約900坪)分の「甘々娘」と「森の甘太郎」を販売。今や森町の観光名所だ。

「甘々娘」は時間が経過しても糖度が落ちにくいため、ネット販売も大好評。全国のシェフやパティシエからも愛用されている。テレビ番組出演時には10分で800本を売り切るほど大反響があった。
「甘々娘」は時間が経過しても糖度が落ちにくいため、ネット販売も大好評。全国のシェフやパティシエからも愛用されている。テレビ番組出演時には10分で800本を売り切るほど大反響があった。


※掲載の内容は、2018年4月現在のものです。