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Vol.16 ここまできたら割引額の大きさで勝負!?

「ここまできたら、割引額の大きさで勝負するしかない!?」。そんな風に感じるほど、飲食店の値下げ・安売り合戦が熾烈になっている。しかし、割引額の大きさで勝負するとリスクがある。別の方法で勝負することを考えるべきだろうか。

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割引額の大きさで勝負するor別の攻め方で勝負する

 最近では、チェーン店、中小店を問わず、値下げ合戦、安売り合戦が各地で繰り広げられている。これからも、しばらく続きそうな状況だ。確かに、お客様の節約志向、低価格志向は強い。安さを打ち出さなければ集客が難しいと判断する経営者の気持ちも分かる。安売りに走ってはいけないと分かっていても、ここまできたら大幅な割引などの安売りしかない…という考え方も、完全には否定できない面もある。実際、生ビールを何杯飲んでも一杯150円で提供して繁盛しているような居酒屋もある。こうした激安商法は強い。
しかし、激安商法が本当の意味で成功と言えるのは、しっかりと利益を出してのことだ。薄利多売でも利益を確保する客数の確保、その客数に対応できる接客・調理オペレーションの確立など、よりシビアに経営の仕組みが問われる。その経営の仕組みを構築するのは決して簡単ではなく、やはり安易な安売りには大きなリスクがつきまとう。一度、安売りをしたら、元の価格に戻すのは難しいので、そのリスクも考えると、なおさらおすすめはできない。「ここまできたら安売りの割引額で勝負する」と考える前に、もう一度、別の方法を考えた方がよいだろう。
その点で、重要なキーワードとなるのが「安さ感の演出」だ。利益率が大幅に下がる単純な値下げではなく、売り方やPR方法の工夫で安さ感を印象づけるのである。
例えば、全品を均一低価格にはできなくても、メニューの一部分に均一低価格のグループを設ける。あるいは、「本日入荷 新鮮な○○の刺身 30%引きの特別価格○○円」といった風に、商品の価値を伝えながら割引を伝える。まずは、こうした安さ感の演出に、とことん知恵を絞ってみるのである。『よろずや食堂』においても、安売りの割引額を大きくするのではなく、安さ感を打ち出す攻め方を考えたい。


自店らしい独自のクーポンで安さ感を演出!

 都心の繁華街にある居酒屋N店は、2年間売上を下げ続けていた。その原因の一つが、安さ感を伝える工夫をまったくしてこなかったことだ。料理や接客のレベルは高いが、あまりにそれだけに頼り、販促がおろそかになっていたのだ。
そこで、N店では10種類の特典がつづりになった「クーポン集」を導入。「自慢の焼とり お一人様1本づつプレゼント」「とっておきの特別宴会コース利用券」「サービスルーレット1回券」などのクーポンを、来店ごとに1つ選んで使えるというものだ。単純な割引クーポンではなく、自店らしいクーポンで安さ感を演出し、集客挽回につなげている。

まずは「安さ感の演出」から!

割引額の大きさで勝負する激安商法が、本当の意味で成功と言えるのは、しっかりと利益を出してのこと。それを実現するのは容易ではなく、安易な激安商法はリスクが大きい。まずは、ムリのない販促コストで実践する、「安さ感の演出」で勝負しよう。

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